【争族対策】について
「争族」とは、故人の遺産について、遺産分割の方法やその金額等をめぐって、親族間で争いごとが起きてしまうさまを表現した言葉です。
争族対策とは、このような争族問題が起きないようにするために講じておく対策をいいます。
家族それぞれの実情にあった争族対策を考える必要がある
近年は、自宅が唯一の遺産である場合など、遺産がそれほど多くない案件でも、また、これまで特にけんかもなかった兄弟姉妹間であっても、遺産をめぐって親族間で相争う事態となってしまうケースが増えてきました。
そこであらかじめ争族対策をしておく必要があります。
ただ、争族対策は、一律に答えがあるわけではなく、家族それぞれの実情にあった対策を考える必要があるので、大変に難しい問題です。また、家族のどの立場の方からの相談かによっても、その答えは異なり得ます。
万一のことがあった場合に備えてぜひ遺言書を作成しておいて
もし読者の方が、ご自身に万一のことがあった場合の「争族対策」を検討されておられる立場の方であれば、ぜひ遺言書を作成しておいてください。
その際、遺産を多く受け取られる相続人があるときには、他の相続人の遺留分を侵害していないかについて、配慮する必要があります。
遺留分を侵害する内容となっていると、争いごとを避けるために作った遺言書が、遺留分をめぐって争いを招くという残念な結果ともなりかねません。
遺留分の計算には専門的な知識が必要ですので、事前に弁護士に相談されることをお勧めします。
あるいは、ご自分のご両親に万一のことがあった場合の「争族対策」を検討されておられる立場の方であれば、可能であれば、お父さまお母さまと一緒になって、争族対策をしてみてください。
ご両親がご自分の意思を表示できるうちに対策をとることも大切になってきます。
いずれにせよ、いざ争族の問題が発生したあとでは対策が困難な場合もありますので、早めに弁護士に相談をされることをお勧めいたします。
(2016年10月12日 執筆)